行き詰まった日々、そして奇跡は突然やって来た
世界中で起こっている環境問題、メンタルと身体の関係、スピリチュアルな世界、植物や自然のこと、先住民族の事まで幅広くを旦那さんから学んだ結婚生活。まるで先生のような彼のもとで修行をしているかのように、私にとっては学ぶべきこと全てを吸収する時間だった。
5年間の結婚生活の中で、旦那さんの体調が優れなくなっていった。
いろんなテストをし、セラピーを繰り返しても改善しない彼の体調。慢性疲労ということしか明らかにならず、それは病気という病気ではないと言われるが、全てが機能が衰えてくるとなるとそれは立派な病。
気力も体力も落ち、ただ怠いのだそうだ。思考能力もすぐれなくなっていき、決断力も薄れ、曇ったマインドがより状態を重くさせた。隣でその姿を日々見つめているのはとても辛く、自分を無力に感じ、ふたりの口数も少なくなっていった。
”現実から離れ、大好きな場所でトリートメントを受けて、ゆっくりすればもしかしたら改善するかもしれない” そんな最後の望みを託し、バリ島にいる有名なヒーラーの元へ彼を送った。
そして彼が旅立ったその2週間の間にマジックは起こった。
私の人生は180度思いっきり方向転換したのだ。
休息の2週間に与えられた癒やしへの導き
気分転換に一人で映画を観に行った。
映画館の駐車場に停めた私の古いワーゲンバス、映画を観終わって車に戻ると右隣にも同じワーゲンバスが停まっていた。
横のスライディングドアが開いていて、音楽が聞こえる。
私は自分の車に乗り込もうと2台の車の間を歩き運転席のドアを開けた、その瞬間、隣の車内で演奏している人と目が合った。目の奥から活力が漲っていて”ヘルシーでハッピー”という言葉がぴったりな雰囲気、私と同年代くらいの男性だった。
ワーゲンバスのドライバー同士は通常、愛車について会話を交わすのがお約束なオーストラリアのバス文化。
「Hi, sounds pretty nice − こんばんは、素敵な音楽ね。」私はそう話しかけた。
ただの挨拶が人生相談となり、私は自分のバスのスライディングドアを開けて腰を掛け、彼は楽器を片手にその場で話し続けた。
彼はメルボルンにヒーリングクリニックを持つヒーラーであると同時に、旦那さんが苦しんでいたのと同じ慢性疲労を12年間経験した人だった。
病気、人生、メンタル、ヒーリングについて語り合った2時間の深い立ち話の後、私は彼に無理を承知で一つの大きなお願いをしてみた。
「あなたが自分自身や多くのクライアント達に施した全てのことを、明日から2週間私に全て伝授してほしいの」なんとも斬新なお願い。
また現れた、一滴の雫をドロップしてくれる人よ。
「もちろんさ。」
彼はなんの迷いも無く、私の願いをしっかりと受け止めてくれた。
そしてその時、二人で涙した。
彼も辛かった時期のことを話している間に、きっと全てを昨日のことのように思い出したはず。
私は旦那さんを真っ黒な病気の渦の中からただただ引きずり出したかった。全力を尽くせば改善という希望が目の前に訪れるはずと信じていたでも私、でももうすでに力尽きていたのだろう。
ほぼ彼のヘルプ無しでビジネスを続け、彼の看病をし、自分のケアを全くせずにいた。
闇の沼に片足ずつ沈んでいく感じすら把握していたのだ。
リトリートで見つけた本当の自分
ヒーラーである彼のガイドの元、まずは私が全ての療法を体験しそれを旦那さんに試してみようという計画だった。
メニューは以下。
- 塩水での腸内洗浄デトックス(*必ずプロや医師の指導のもと行ってください)
- ローフード90%、プラントベースの食事への切り替え
- サーフィン
- ヨガ
- サウンドヒーリング
- メディテーション
- ダンス
- ビーチで遊ぶ
- 裸足で過ごす
- 朝日と夕日を見つめる
そして自然の中でできるだけ時間を過ごした。雨に打たれ、風に吹かれる。
自然の中に身を置く、そんな簡単な事が全くできていない事を改めて感じた。
風が吹けばそれを避け、雨が降れば屋内に入る。
忙しいという時間の流れを自分で作り上げ、小さくとも大事な物事を後回しにしていた。
それらを長く続けると人はバランスやリズムを崩し、いずれ病気というものになる。
2週間のリトリートで、私は完全に抜けた。。。
はるか遠くに飛ばされた。
デトックスで身体は軽くなり、頭の中はすっきりと整理され、視界が広くなり、エネルギーが身体の芯から湧いてくる感覚が一日中止まらない。
そして一番びっくりしたことは、足が地面に着いていない感覚。常に2センチくらい地面から浮いている気がした。
2週間のヒーリングセッションのお陰で、自分自身のことを見直す事ができた。自分は何がしたくて、どう生きたいのか?
今まで彼と仕事に捧げていた時間が、久しぶりに自分にフォーカスする時間となって戻ってきた。
自分を取り戻す人生最大のチャンスに出逢えたのだった。
カラダの奥から聞こえる声、そして幸せな別れ
「私はここから離れた方がいい。」
今までの人生の中で一番強くハッキリと心の声が聞こえた時だった。
バリから戻ってきた旦那さんを空港まで迎えに行き、次の日の朝に別れを告げた。
この2週間で学んだ事を全て見せ、書き出し、回復の願いと大きな愛を込めて全てを彼に受け渡した。
「君の好きなようにしたら良い、君はもう飛び立つ準備が出来たんだね。」
私の要望を彼はすぐに理解してくれた。
全く実感なく結婚したように、別れもまるで実感が無いままに事が進んだ。
私は解放された。
彼から解放されたのでは無く、自分自身でがんじがらめにしていたリミットを全て解き放ち、自分自身へと戻って来れた。
まるで夢のような体験だった。
これも旦那さんが病気でなければ起こりえない体験だったと思うと、また全てが噛み合い、ひとり納得した。
これで良かったんだ。
両手を思いっきり広げ胸を開くと、私の身体は空高く舞い上がった。
真っさらな自分に訪れる新たな出会い
気持ちよく自由に空を飛んでいた私(それくらい気持ち良いという意味!)、飛んでる先を見渡すと、彼方から同じ高さでとても気持ち良さそうにこっちに飛んで来る人を発見!
ターニングポイントを5速ギアーのままフルスピードでターンし、最高な状態で自分というものを楽しんでいる。私と完全に同じ状態の人間がいた。
私は大好きなサーフポイントでいつもの様にサーフィンした後、決まって摘んで帰るお花を集めに、通いつめていた木の下へ向かって歩いた。履いていたスカートの裾をつまんでバスケット代わりにし、たくさんの花を摘んで車に戻る途中、素敵なサーフボードを見かけた。
海水が滴り芝生の上に無造作に置かれたその板は、色、シェイプ、マッチしたフィン、大切な思いが込められて作られた感覚が伺えた。
その板を見ていると「ハロー!」と海上がりのサーファーに声をかけられた。
見上げると、1度だけ海で話したことのあるローカルサーファーだった。
その彼はメンタルトレーニングの集中ワークショップを終え、ライフコーチングという分野を探求し古い自分から脱皮したばかり、気持ちよく羽ばたいてた。
ボード、サーフポイント、キャンピング、彼が受けているマインドトレーニングの話から、私の体質改善の話まで話は尽きなかった。
彼は来週行こうと思っているヨガのワークショップに私を誘った。
それが私たちの出会い。
そしてターニングポイントを同時に同速度でターンした私達二人は、真っ逆さまに恋に落ちたのではなく、まっすぐと空に向かって打ち上げられた。
それはまるで化学変化を起こしたロケットのようだった。
Writer : Maki 3 little spirals
次回第4話では、もうこの人生では訪れないと思っていた恋愛❤️
そしてまさかの妊娠、びっくりする出産とスピードに乗りながらも冷静に”ミラクル”と言うものが現実に存在することを改めて実感して行く様子をお届けします。
自分の変化を客観視しつつ、なんか不思議すぎて笑っちゃっていた私。
思いっきり瞬間を生きていたなー。
それではまた次回お会いしましょう。