一生無縁だと思っていた「肛門科」での喪失感

Part.3で婦人科で内診のついでに先生へ「先生、実は私、5年前からひどい痔に悩まされているんです」と長年の痔持ちであることを告白したくうねる。それがきっかけで子宮筋腫と子宮内膜症の手術に加えて、3つ目の手術をすることが決まったのです。

話は遡って、30代になったばかりの頃、とにかく仕事が忙しくて、睡眠もろくに取れないストレスマックスな日々を過ごしていました。さらに暴飲暴食で胃腸を壊し、人生初の痔に悩まされていたのです。しばらくは放置していたのですが、勝手に治るはずもなく、最終的には排泄するたびに鮮血が出るという恐怖の状態に。泣く泣く、キラキラ女子(自称)の自分とは一生無縁だと思っていた、「肛門科」の門を叩くことにしました。

地元にある古い病院で、80歳近い長老先生に、はじめて肛門を診察してもらったあの日。はっきりと自分の中で“何か”を失ったのですが、感傷に浸る間もなく、ポリープを含めるとなんと13個の痔があると診断されました(痔自体はたいしたことなし)“こんなかわいい私に痔が13個もあるってどゆこと!?”と斜め上の結果に唖然としていたのですが、長老よりいぼ痔や切れ痔、ポリープたち12個は薬で治るけど、1つだけ切除しないと直らない痔があると告げられました。

原因は慢性的な裂傷と炎症を繰り返し放置したこと。裂け目のまわりの皮膚が「いぼ」のように盛り上がってしまい、通称「見張りいぼ」と呼ばれるいぼに成長したのだそう。ただ、すでに皮膚の一部になっているため、実は痛みもなく、清潔にさえしておけば手術の必要ないと。それでも免疫力が落ちたり、新たな痔が出来たときは炎症を起しやすいので長老は切除をおすすめになられました。が、30過ぎとはいえキラキラ女子にとって肛門の手術は死刑宣告ほど辛いものだったので、丁重にお断りし、この先「見張りいぼ」と生活を共にすることを決意したのでした。

 

チャンスは今しかない! 彼との別れを決めた日

確かに彼(見張りいぼ)は体調が悪いと自己主張を強め、勝手に悪友(いぼ痔、切れ痔)を連れてくる厄介なヤツでした。ただおとなしいときも多かったのでとにかく清潔にしたり、体調を悪くしないようにと6年近く機嫌を伺いながら生活してきたのです。しかし、ここ1年体調が悪かったこともあり、痛みや鮮血など徐々に暴君化しはじめていました。生活の不便さも感じ始めていた今日この頃。6年前は一生付き合っていくことを心に決めたけど、子宮筋腫の手術を宣告されたときに、別れのときは今しかない!と先生に相談してみたのでした。

「子宮筋腫の手術するまでに、お尻もきれいにしておいたほうがいいですね。肛門科できちんと診察してもらうことをおすすめします」と婦人科の先生。幸い痔の手術なんて日帰りでできたり、簡単なものなので子宮筋腫の手術と一緒にしておけば、会社にも迷惑をかけない(ばれない)だろうと私も前向きに考えることにしたのです。

 

すべて治療してピカピカな私に戻りたい

意を決して、人生二度目の肛門科へ。先生は女性じゃないと・・・と最初は女医が在籍している病院を探していたのですが、通院で会社を抜け出すことが多くなってしまったこともあり、昼休みに出られる会社から徒歩15分の「アルト新橋胃腸肛門クリニック」を選択。長老とはいえ、もう既に男性に診察されているので、正直もうなんでもいいやという気持ちも芽生えはじめていました。病院名に「胃腸」が入っているのは、“肛門科って丸わかりだと恥ずかしい”という患者への気遣いが込められているそうで、その小さな優しさにも安心感を覚えました(もちろん胃腸科も実在していますが、実際は肛門科の患者が8割以上なのだそう)。

初診の予約はなかったのですが、待ち時間も比較的短く、20分ほどで診察室へ呼ばれました。先生は40代くらいの男性。診察は痛いし辛いしで精神的苦痛が大きかったですが、とにかく心を無にし“私は市場に卸されたマグロだ”と自分に言い聞かせながら挑みました。しばらくすると触診していた先生が「あーーー。何箇所か裂肛もみられますが、左に痔ろうがありますね。」の一言。

なにこのデジャブ。子宮筋腫のときも同じ状況に陥りましたが、今回は「痔ろう」という明らかに聞いた事のない病名を耳にしたのです。

 

円満なお別れなんてどこにもなかった

服をただし、診察席に戻ると、先生がプチパニックアゲインの私に淡々と説明をはじめました。「痔ろうとは、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のことです。肛門周囲に膿がたまってるようです」。

「痔ろうの主な原因は、下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。肛門付近には小さなくぼみがあり、通常はここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると、便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込むことがあります。この肛門腺に大腸菌が入った際に、付近に傷があったり、体の抵抗力が弱っていたりしていると、感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍になるのです。今回はそれが進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができてる状態なんです。」

一言一句がパワーワード過ぎて、あまり頭に入ってこないわ、私のヒットポイントは限りなくゼロに近い状態なるわでもうカオス状態。それでも力を振り絞り「これは、薬とかで治るものでしょうか」と私。

「いえ、残念ながら薬での治療はできないんです。手術しない限り治る事はありませんし、症状がよくなることはありません」。さらに「切除を希望されていた見張りいぼのような類とは違って、痔ろうは放置しておくと大腸がんへのリスクも高まるんです」と先生。

大腸がんのリスクとか、完全に王手をかけられた私。手術を回避する方法がないなんて、子宮筋腫の手術も見張りいぼの切除もあるし、もうどうなってるんだ私の下半身!と自分に対して怒りさえ湧いてきました。

そして先生は最後にこう畳み掛けてきたのです。

「たぶん重度の痔ろうなので、うちのクリニックでの手術は無理ですね。紹介状を書きますので大学病院へ行ってください」。

Part.5へ続く

<診察料金MEMO>

  • 「アルト新橋胃腸肛門クリニック」での診察料:1,970円
  • 大学病院への紹介状:1,130円

※本記事はあくまでくうねるの記憶によるリポートです。また、病状や金額には個人差があります

Writer : くうねる

Message

病気の宣告をされるときって、想像以上にパニックに陥ります。ただでさえ子宮筋腫の手術で滅入ってるのに、今度はお尻の聞いたことない病気って! しかもまた大学病院・・・。次回Part.5では、手術する病院を決めるまでの紆余曲折をリポートします。

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