『西麻布の「バスティーユ」で久々にフレンチのフルコース。酒も美味いし、雰囲気もやっぱり最高。』

『オフィス街の隠れた名店、有楽町の「モンカフェ」はエッグベネディクトとガレットがいちおし。ソムリエが選んでくれるワインで、料理が進む。』

『表参道に来たら絶対寄りたいビストロ「ビアンコ」で軽めの夕食。この後は、骨董通りのバーで飲みなおす。』

毎度同じような文面で、添付している写真もほぼ同じようなアングルのものばかり。

確かに宮藤さんは、いいお店にものすごく詳しいし、連れて行ってくれる店はどこもハズレがない。

全く知らなかったけれど、私とデートで行ったお店ももれなく投稿していて、そこには私の手元も写り込んでいた。確かに毎回デートでお店に行く度に写真を撮ってはいたけれど、インスタにはほとんど投稿をしていないから、まさかその写真をFacebookにマメに投稿しているなんて、思いもしなかった。

そして、圭介の言った通り、ここ3ヶ月ほどの間に投稿された写真の多くに、派手めなネイルをした女性の手が写りこんでいる。はっきりと写っているわけではないけれど、手の骨格や、写り込んでいるしっかりと巻いた髪の色などから察するに、同一人物に違いない。

絶望的な気持ちで写真を見てると、「会社の人と接待ゴルフなんだ。」と言っていた日に、ネイルの女が写り込んだ写真をアップしていることに気がついてしまって、急に目の前が真っ暗になった。

もちろん、彼も知った上で加賀美との交際も続けている私に、それを責めることはできない。

決めかねている、という口上の元に調子のいいことをしているのは私の方なのだから、宮藤さんが他の女と会っていたとしても、それはお互い様だ。

でも、確かに私はFacebookをほぼ使っていないと宮藤さんにも話してはいたけれど、それでもいつ私が目にするかわからないオープンな場所で、こんな投稿をしていることに対して、気持ちをどう整理すればいいのかわからない。

二人とも愛しちゃダメですか?20イメージ2

様々な思いが去来して、吐きそうだ。私は思わず、圭介に電話をかけた。

『もしもし、……どう、見た?』

「……うん、今見た。」

口を開いた途端に涙が出そうで、思わず息をのみ下す。

『ごめんね、都、私が余計なことしたから。』

「圭介は悪くないよ。そもそも悪いのは私なんだけどさ、でも、どうすればいいのか分からない。」

『デートの時は、彼、普通なの? 特になんか冷めてきたような素ぶりはない?』

思い返してみても、ここ最近宮藤さんの様子に変わったところはない。だから余計に、接待ゴルフだと嘘をついて、他の女に会っていた事実が重くのしかかって来る。

「全然普通だったんだけど、写真見てたら、私には接待ゴルフだって言った日にも、ネイルの女と会ってたぽい。」

『ええ?! そうなの?! それって……、』

圭介が二の句を飲み込んで沈黙する。

「浮気、とは言えないよ。そもそも私が二股かけてるわけだから。」

『それはそうだけど……。でもだからと言って嘘をついていいってことにはならないわよ!』

そうなんだろうか。どう考えても、悪いのは自分のような気がして、気持ちのやり場が見つからない。

嘘をつかれたことはショックだけれど、それを責めていい立場に私はないからだ。

『でもさ、正直なところ、都はどっちがいいか、そろそろ気持ちは決まってきてないの? もしも宮藤さんよりも良平くんの方がいい、と思ってるなら、これを機に宮藤さんとの関係は清算してもいいんじゃない?』

「なんかさ、最近二人のどっちと一緒にいても居心地が良くて、その関係に甘えてたんだよね……。」

『でも、今回のことで宮藤さんとの関係は少し変わって来るでしょう? 答えを出すいいきっかけなのかもしれないわよ?』

圭介の言う通りなのかもしれない。

いつまでも、二人との関係をずるずる引きずっていていいわけはないのだ。これはある意味で、ちゃんと関係を考えろ、というお告げなのかもしれない。

でも、だからと言って、宮藤さんに一体なんて聞けばいいのか……考えただけで息が詰まりそうになる。

商店街の明かりを見下ろしながら、滲んできた涙を指で拭って、息をゆっくりと吐き出した。

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Writer : Miranda

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「二人とも愛しちゃダメですか?」第19話はこちらから

 

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