日本で活動するグラフィティライターであり、グラフィックデザイナーのCHOB-ONEと初めて出会った時、私はまだ学生でダンスに夢中だった。2000年代のHIP HOPブームの全盛期、大阪のミナミにあるアメリカ村では、夜な夜なダンスイベントやDJイベントなど様々なパーティが開催されていた。私たちは共通の知人を通してCONQUESTというイベントを盛り上げる仲間として出会った。イベントの前には一緒にフライヤーを配り、当日私はダンスショーに出演し、チョビ(CHOB-ONE)はライブペイントをしていた。まさか私たちが時を経て、アーティストとインタビュアーとして再会することになるとは、あの頃は夢にも思っていなかった。

 

Profile
CHOB-ONE/通称チョビ

大阪府出身。10代の頃にグラフィティを始め、数々のライブペイントに参加。その後デザイナーを目指して上京。現在は企業やアーティストの広告を手掛けるデザイン会社、株式会社POCの取締役を務め、アートディレクター兼グラフィクデザイナーとして活動している。エイベックスマネジメント、ユニバーサルミュージック、ビーイング、ソニーミュージックなどに所属する数々のアーティストのCDジャケットデザインを手掛ける。その一方で、グラフィティライターとしての活動も続けている。

Instagram:@chob1103

ストリートとの出合い

恵比寿からほど近いところにあるオフィスは先日引っ越したばかりだそうで、友人が手がけたという内装はエイジング加工された壁やドアでインダストリアルな雰囲気。私たちが初めて出会った頃、彼はブカブカのパンツとTシャツで西海岸のヒップホップスタイルの出で立ちだったが、今では金髪にオリジナルデザインの全身タトゥーが彼のトレードマークになっている。久しぶりに再会した私たちは、まずお互いの近況を報告し合い、共通の知人などの話題でひとしきり盛り上がった後、彼の今までのストーリーについて話し始めた。

 

「チョビは元々絵を描いたりするのが好きやったん?」

「そんなことないで。美術の成績はずっと3だったし得意でもなんでもなかった。特に夢もなかったし、その時が楽しければよかった。学生の頃、友達に誘われてダンスを始めて、そこからHIP HOPを聴くようになって、クラブにも行くようになった。その頃は今ほど規制も厳しくなかったし、若くても入れた。でも、自分にダンスの才能がないのはすぐに分かったわ(笑)」

そう言って昔と変わらない無邪気な笑顔で笑った。

「HIP HOP文化が日本に少しずつ入り始めたその頃は、一番流行ってるのはハードコアやミクスチャー。HIP HOPをやってるクラブも少なかった。HIP HOPを構成する4大要素、ラップ、DJ、ブレイクダンス、それとグラフィティがあるけど、グラフィティをやってる奴なんてほとんどおらんかった。その中で俺が興味を持ったのが、グラフィティ。でも、最初は暇つぶしやってん。」

 

彼はHIP HOP文化や音楽が取り上げられている雑誌の小さな特集に載っているグラフィティ情報を集めて、少しずつ独学でグラフィティを始めていった。アメリカ村へ通う電車の中ではいつも『ジャンプ』のページ1枚1枚にマジックでレタリングを練習していた。

 

そんなある日、雑誌で知ったスプレー缶などのグラフィティアイテムを扱うショップに行き、店主に作品を見てもらった。そのオーナーは、グラフィティライターとして今でも日本のアートシーンを牽引する、WA2さんだ。その日から彼は、チョビにグラフィティについてアドバイスしてくれるようになる。チョビが作品を持って行っては、WA2さんから「下手くそやな〜!」とダメ出しをもらったものだった。

WA2さんは時々、自分がグラフィティをする現場に連れて行ってくれた。チョビにとって全てが新しく、刺激的だった。そしてそんな繋がりから、チョビは初めてNEOというクラブでライブペイントをするチャンスをもらい、そこで私たちは出会ったのだった。

 

アメリカ村に行ってチョビに会わない日はなく、彼は“三角公園の住人”と呼ばれていた。三角公園は、アメリカ村の中心にある三角形のコンクリートでできた公園で、若者たちが集まるシンボリックな場所だった。

「本当に毎晩いた。アメ村(アメリカ村)にあるMeltというバーが溜まり場で。そこに行けばダンサー、ラッパー、ストリートカルチャーをかじった誰かが必ずいる。街に出たら絶対知り合いに会ってたし、あの感じが好きだった。」

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Writer : みるくり

Message

15年来の友人へのインタビューは嬉しい気持ちとこそばゆい気持ちで、ニヤニヤしてしまいました。

自分の夢や想いを真っ直ぐに語れる人を、私は応援したい・・・! そして私もそうでありたい・・・! クリエイター男子のインタビューはいつも勇気をもらえますね。

このインタビューでグラフィティに興味を持ったあなたは、ぜひ『UP Magazine』を覗いてみてくださいね♪

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